DIARY

上山市~I・N様邸 『元プロボクサー庭師さんの家』

上山市で有隣庵を営んでおりますご主人は、京都で修業を積み独立された若き庭師さん。それだけではありません!「ボクシンググローブを庭ハサミに持ち替えて」という異色の経歴をお持ちの方です。いつも笑顔で穏やかなご主人の人柄に、周囲の人はみんな笑い声が絶えません。ご主人と奥様の住宅に対するご要望を、ヒアリングシートで簡単にまとめてみると、こんな感じです。

  1. 月々のローン返済を、現在お住まいの家賃と同額に抑えた家
  2. 自分が手がける庭をデッキ越しに眺めたい
  3. ランニングコストを考えた高性能な住宅にしたい

コンセプトは昔懐かしい平屋をイメージして現代風にアレンジする。

片流れのシンプルな屋根を採用した『平屋+α』のデザイン。室内はふんだんに木を使用した温かみのある間取りです。ポイントは屋根を支える束。一間(1820㎝)間隔で合計2梁、束は6本現わします。この部分を現すことで、吹き抜け上部の木肌がいい感じになる予定です。この束の現しはあくまでもお好み次第。梁の駆け方で無くすことも可能なのですが、ここはあえて見せることをご提案させていただきました。

正面(南側からみた外観)には、将来自分でこしらえた庭を楽しむ予定。ウッドデッキを設えて省規模ながらも存在感のある外観に仕上げました。某日、厳かに地鎮祭がとり行われました。この日ばかりは、いつも作業服のご主人もスーツに着替えて大変身!なかなかの男前ですよ!!

外張り断熱工法の採用

エアサイクル工法の基礎部材が到着しました。いよいよ基礎工事の始まりです。建物の位置・水平の基準を正確に隅出しを行い、ランナーを設置するための捨てコンクリートを打設していきます。(捨てコンの厚さは50ミリ以上、レベル誤差は20ミリ以内)

プラキソを設置するためのランナーを、コンクリート釘(長さ28ミリ@500)で固定していきます。この作業を正確に行うためには、前日に打設する捨てコン作業の精度が重要です。今回基礎工事をするにあたり、基礎の専門業者に施工をお願いしておりません。

当社のスタッフとI・N様お知り合いのエクステリア屋さん、鉄筋屋さん、それにお施主様であるI様ご本人です。家の礎となる基礎工事をお施主様にお手伝いして頂くって、なかなかないこでは?・・・当社のスタッフにとっても、大変貴重な経験となりました。

防蟻処理のアリダンシートを巻きこみ、これから設置する外側型枠のユニット化を行います。基礎断熱と型枠の機能を併せ持った発砲ポリスチレン製の基礎断熱型枠です。

従来の合板型枠やスチール型枠のように取り外しの手間がなく、女性でも軽く扱いやすい部材である反面、シロアリの被害を考慮する必要があります。さすが、シロアリにはうるさいフクビ社さんが開発しただけのことはあります。

※このプラキソ防蟻に関しては、フクビ化学工業(株)による保証制度(セイフティーアップ制度)が適用されます。

コーナー部分の隙間もしっかりとアリダンシートで巻きこみます。ユニット化した型枠をどんどんランナーにはめ込み、後で全体の高さ・水平調整を行うための専用金物を差し込んでいきます。

すべてのユニットを設置した後、レベルを見ながら電動ドリルで上下させて調節します。なかなか考えてますね。明日はエアサイクルの家㈱の検査を受け、内側型枠の準備に取り掛かります。ここまで外側型枠の施工に要した時間は3時間程度。ホントにあっと言う間に完成しました。

内側の型枠を支えるセパレーターを取り付けます。このセパレータなんですが、数にして相当あります。単純な作業ですが、炎天下の中黙々と作業に没頭です。それにしても、『暑い・・。』この日の気温は38度でした。(泣)エアサイクル工法では、床下は『室内』と考えます。

セパレーターで内側型枠から外側と内側の型枠を一体化させます。型枠と一体化された基礎断熱材プラキソが、鉄筋検査を無事に終了し設置完成しました!いよいよコンクリート打設です。明日はお施主様I・N様も施工に参加されるとのこと。楽しみです。

お施主様であるI様登場!(セルフビルド編)

エクステリアの設計もされているI様は、コンクリートを扱うことにあまり抵抗を感じないのかも知れません。私たちスタッフはこの日ばかりは邪魔にならないように、写真撮影や周りの清掃などをしておりました。

猛暑の中コンクリート打設に奮闘するI様。カンカン帽子が似合います。基礎工事もいよいよ大詰めで、最終工程のコラムベースの施工です。

このたびI様をご紹介いただきました大竹工業代表の大竹氏(左写真)は、山形木族の会のメンバーである、㈱Forex代表の情野がハウスメーカー時代に建築していただいたお施主様です。このたび独立されたことをお聞きして、I様の基礎工事の監督兼施工をお願い致しました。

円柱状の鉄筋を覆い囲む形のコラムベース用の断熱材です。ここにコンクリートを流し込みレベルを調整して完成です。次世代型基礎『コラムベース基礎工法』はこんな感じに仕上がります。水平の誤差が2ミリ以下であるか確認中です。この2ミリ以下はとても重要で、この精度を保つかによって今後の木工事に大きく影響してきます。

コラムベース上に敷かれた土台。床下の空間は自由に空気が動きます。エアサイクル工法では、基礎天端の全周で、床下空間を壁の中のエアサイクル層とつなげるしくみです。そのため、床下空間の安定した温熱環境が利用できます。社内では、このコラムベース工法で『床下に空調設備を施して活用できないの?』と検討に入りました。地熱利用や床下の空調設備の設置など、当社オリジナルの仕様を提供出来るかもしれません。

上棟から完成に向けて

炎天下(気温36度)、いよいよ上棟です。某日、棟上げに向けて現場も熱気ムンムンです。この時点で、設計上現れてくる木組みが確認出来ます。I様邸の見どころの一つに、勾配天井を支える小屋束を見せる部分があります。

設計どおりバッチリです!エアサイクル工法を採用するにあたって、設計の段階で思い描いたのが『吹き抜け』『勾配天井』の検討でした。気密性と断熱性能を高めることで、I様のご要望である『ランニングコストのかからない家』をクリア―させます。

屋根にはエアサイクル工法の特徴である屋根断熱材『シャルーフ』が施工されます。シャルーフの通気層には、赤外線を反射するアルミシートが張られています。屋根通気層には、湿気を排除する効果があって野地板の湿気を抑えて、蒸れによる劣化を軽減します。日射の強いときはサングラスが必要とのこと。(高橋棟梁いわく)

建築吉日に無事上棟しました。いよいよ、エアサイクル工法の外張り断熱材『CMボード』の施工開始です。思い起こせば、資金計画や間取りのこと。この日までたどり着くまでいろいろと大変でしたね。

家づくりは十人十色とよく言われますが、まさにその通りだと思います。この後、屋根の施工と玄関アプローチも、I様にお手伝いしていただくことになりました。スタッフ一同:『よろしくお願いいたします!』

外張り断熱材『CMボード』の施工。外張り断熱材のダイヤカットされた部分が、空気が駆け巡る層です。外部はアルミ箔が表面に施されており、外部からの輻射熱を防ぎます。断熱材の合わせ目は内・外部共、ウレタンで隙間を埋めていきます。

室内側からみる風景。家全体が断熱材で覆われているのがわかります。エアサイクルを直訳すると『空気の循環』のことですが、ただ単純に空気がクルクル廻っているわけではありません。温度差や煙突効果によって壁の中の空気が自然に移動しているしくみです。冬は閉じたエアサイクル層で暖められ、ほかの空間との温度差で動きます。その結果、家の中の温度差が少なくなって、ヒートショックを防ぐ効果が得られます。

竣工に向けて

飯豊町出身の若き棟梁。当社の『季楽な家』の建築には欠かせない存在だ。冬季間は蔵王スキー場のパトロール隊に変身する。とある日、当社代表の情野と高橋棟梁とのこんな会話を耳にした。

高橋:「社長!今度から、吹き抜けの施工も大工手間を頂きます!!」

情野:「吹き抜けって、床面積に入らないだろ!」

高橋:「社長が設計すると、やたら手間が掛かるんですよ!!!」

情野:「だから、なんで坪数に入らないものが、手間が掛かるんだ?」

高橋:「・・・・・。(沈黙)」

情野:「・・・・・。(ニヤニヤ)」

高橋:「掛かるものは掛かるんです!(真剣)」

情野:「はい・・・。(激沈)」

こんな楽しい(?)会話が飛び交う現場です。

高橋棟梁が話す「大変手間の掛かる仕事」とは?確かに、勾配天井の仕上げや、木製グレーチングなど手間が掛かる仕様です。山形木族の会がお施主様にご提案したい職人の手仕事です。

「たたき」とは、土に石灰や水をまぜて練ったものを塗り、たたき固めて仕上げた土間のことをいいます。今回の住宅計画では、玄関ポーチと南側デッキ下の部分を、I様のご提案により、施工して頂くことになりました。

お施主様が仕上げたウッドデッキ下と玄関アプローチのたたき。三和土の続きに、錆御影の石張りの施工例。お施主様曰く『色彩的に三和土にとても合うと思います。』とのこと。

粋な職人でもあるお施主さん。今回は、現場のお手伝い頂き大変ありがとうございました。間もなく完成ですね。毎回のことですが、お引き渡しの時期が近付くと、一人娘を嫁に出すようで寂しい気持ちになります。

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